ふとした思い出

私の先輩の話しなんですが、23歳の頃、東京の美容室に就職して、そこで寮生活をしてたんですが、寮は4人で、一部屋を2人で使っていました。そのとき同じ部屋だったのが福岡出身の先輩でした。 凄く厳しい先輩でよく夜中まで寮でも練習させられました。そんな先輩でしたがいっしょに寝ているとたまに夢を語り合ったりして、先輩が「猪山、みんなが福岡に帰ったらみんなで期間限定で天神のど真ん中にお店出してやってみようや。」みたいな事を言うので「やりましょう!」みたいなことを私も答えてたと思いますが当時福岡出身者が4人ほどいたのでそのみんなとやりたいねといってたんですが実現できませんでした。それこそ実現できない理由があるんですが、先輩はその後そのお店をやめ原宿の有名美容室に就職しましたが私も寮を出て、一人暮らしを始めましたがその先輩が1ヶ月ぐらい私のアパートに居候してましてカットなどよくそれこそ午前様まで教えてくれました。しかし突然、「俺、目の病気になったみたいやけん福岡に帰って検査するから」と言って出て行きました。その後は連絡も取れず、私が福岡に帰って、一年ぐらいして突然電話があり、「久留米医大に今入院してるから」というので、久々会えるなと思い医大にいったら昔とはぜんぜんちがう先輩の姿がありました。唖然としました。そこにはほぼ目が見えてない先輩がいました。 先輩は目が見えなくなっていく病気なっていました。 うっすらとは見えてるらしく「ジュースを買いに行くけん肩を貸してくれ」というので肩に手をつかませたら やっぱりほぼ見えてない状態で肩をつかまってない逆の手は壁をさするようにしていました。 それを見て私は涙がぼろぼろ出てきて止まりませんでした。「美容室いっしょにやる約束したでしょ。」と私が言うと先輩は「俺はもうだめばい」と弱い声で言って「必ず良くなってやりましょうよ」と言うと「もうできんよ」と涙が溢れるようにでてとまりませんでした。 それから14,5年なりますけど連絡も取ってません。福岡のどこかにいるとは思いますが、あんな先輩の姿は見たくないと思っているんですが、会いたい気持ちもあるんですよね。長くなりましたがふと思い出したので書かせて頂きました。